イノベーションを誘導するシステム:産業院の構想について

国立大学法人は、2004年に法人化されましたが、それ以降毎年、運営費交付金(国からの運営費)に前年度比1%削減という効率化係数が 適用されて、削減されています。
このことにより、定年退職者の不補充という方法で、人件費を削減してきています。
これにより、若手の教員が採用できない状況が発生し、このまま継続すると日本の学問が低迷してしまうことが危惧されています。
そこで少なくとも、現状を維持するためには、運営費交付金が削減された額を、大学において稼ぐ必要があります。
毎年一定の割合で収益を上げるためには、企業を設立するしか方法がないでしょう。
しかし、大学法人が企業を設立することはできません(TLOを除く)。

実は、大学において「稼いでいるシステム」があります。
それは大学病院です。
医学部には基礎系の教員と臨床系の教員がおり、臨床系の教員は大学病院において診療などを行い「稼いで」います。
このシステムを他の学部あるいは大学院にも構築することにより、運営費交付金の削減をカバーできないかと考えています。
つまり、基礎系の教員と応用系の教員を希望に応じて分け、応用系の教員は「稼ぐシステム」で実際に企業を設立し、事業を行い収益を大学に還元するシステムです。

その「稼ぐシステム」をここでは 「大学産業院」と仮に名付けています。
国立大学法人では、直接利益を上げることができないので、この一般社団法人大学支援機構に「大学産業院」を設置します。
大学産業院においては、 学生も現場に参加することにより、「ものづくり」、「販売」や「企業経営」の実践的な教育を受けることになります。
得られた利益は、必ず一定の割合で、基礎研究に投入することを義務にしておくことが必要です。

なぜ日本でイノベーションは途絶えたのか?答えはSBIRプログラム

一方で、日本においては、すでに「イノベーションが途絶えてしまった」との指摘があります。
山口栄一教授(京都大学)は、彼の著書「イノベーションはなぜ途絶えたかー科学立国日本の危機」(ちくま新書)において指摘し、その問いの答えを「Small Business Innovation Research (SBIR) プログラム」が日本では機能していないことである」としています。
SBIRプログラムとは、米国において小企業のイノベーションを誘導する研究を支援するシステムであり、 3つの段階に分かれています。

第1段階:アイディアの実現可能性を研究する(proof of concept(POC))で、プログラムとして採択されると、8万ドル〜15万ドルの賞金が贈られる。

第2段階: 第1段階をクリアーした企業が、実際に試作品などを、約2年間で60~150 万ドルの賞金で作製ます。

第3段階:実際に商品を作成して上市する。この段階では国から支援は得られませんが、ベンチャーファンドなどから資金を調達します。

この仕組みを、産業院において構築することを予定しています。
この産業院も共有の組織であり、収益の一部は必ずSBIRプログラムの資金に使用される仕組みが必要です。
大学発のスタートアップにより収益が得られた場合は、その企業の使用した大学の知的財産への対価がその大学に配分されることになります。

下図は、徳島大学において現在検討している大学産業院の案です。
この大学産業院は、大学病院と同じように、各大学に設置していただき、それを全体的に運営する組織が必要であると考えています。

大学産業院概要図

人々が大学を支援し、大学が人々を支援する体制を構築しましょう!

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