2017年6月14日に、一般社団法人 国立大学協会の第1回通常総会が、東京の学士会館にて開催されました。この総会は全国の国立大学法人の学長が出席する総会です。役員の任期満了に伴い、役員の改選が行われ、会長に山極壽一 京都大学長、副会長に松尾清一 名古屋大学長、永田恭介 筑波大学長(再任)、岡 正朗 山口大学長、室伏きみ子 お茶の水女子大学長がそれぞれ就任されました。総会では、「国立大学のガバナンス改革の強化に向けて(提言)」や「高等教育における国立大学の将来像(中間まとめ)」などが報告されました。また、文部科学省が公表した「高大接続改革の進捗状況について」に対して意見書を出すことについて議論されました。その後、総会の最後のほうで、徳島大学からの発言が許可され、一般社団法人 大学支援機構がおこなっている「おつくる」のクラウドファンディングについて紹介しました。その紹介の内容を下記に掲載します。総会後の情報交換会においては、良い反響がありました。

外部資金獲得のために、 クラウドファンディング・システム(おつくる)をご利用ください

 国立大学が 2004 年に法人化され、それ以来、運営費交付金などの削減による大学の財政状況の悪 化は顕著であり、教育・研究費が不足する状況になっています。その対策として、「政府以外からの 資金活用の推奨」などが科学技術イノベーション総合戦略 2017 の素案にもりこまれています。寄附 金を含め、外部競争的資金などの収入を増やすことが必須ですが、毎年継続的に増やすのは極めて困 難です。このような状況の中で、徳島大学では、米国などでは日常的に運営されているクラウドファ ンディング(Crowd Funding (CF))に着目し、実際に CF のプラットホーム「おつくる (Otsucle) 」を昨 年 11 月に立ち上げて運用しています。その概略図を下に示しています。

クラウドファンディング(CF)とは

 CF では、広く様々な人々に小額の支援金をお願いすることにより、資金を集める方法です。例え ば、1万人の人々に1人 1,000 円の支援をしていただけると、1,000 万円の資金が集まることになり ます。もちろん、支援してもらうためには、支援するだけの価値をアピールする必要があります。このような CF を実施するメリットの一つに、大学の研究内容や教育内容を多くの人々にアピール することにより、大学がどのような教育・研究を行い、どのように人々に具体的に役立っているかを 示すことができ、大学の理解も深まります。

 また、教員の主な研究費は、科学研究費ですが、その採択率は約 25%ですので、75%の教員は科研 費のない状況で研究を継続しなければならないことになります。そこで、CF のシステムを用いて研 究費などを調達することも可能で、われわれはそれを CF 科研費と名付けています。もちろん、文系・ 理系関係なく、CF 科研費に挑戦することが可能です。学生の教育研究活動資金を調達することも可 能です。また、大学の社会貢献として、地域活性化に必要な資金なども調達可能です。

 このような CF 事業は、各大学が個々に独立して行うのではなく、多くの大学が「おつくる」にお いて CF を実施していただくと、多くの人々がアクセスするサイトになり、各大学が個々に CF を行 うより、効果が非常に大きくなると予想しています。CF では、寄附金による支援も可能ですが、支 援に対して返礼品を用意する仕組みも作りましたので、大学が直接運営することができないとの判断 から、一般社団法人 大学支援機構(http://universityhub.or.jp)を設置し、そこで「おつくる」と名付け た CF プラットホームを運営しています。「おつくる」は造語で、「・・・をつくる」に由来していま す。

クラウドファンディングの仕組み

教職員、学生が教育研究などのにおいて、資金を調達したい場合の一つの手段として、クラウドフ ァンディングを使用します。下図に示すように、各大学から、「おつくる」に CF を委託していただ ければ、「おつくる」は、各大学のコーナーを作成すると同時に、依頼者と連絡をとり、広報などに より寄附金や支援金を集めます。この方法により、もし毎月100万円を目標額とした CFを1件実施 すると、少なくとも 1200 万円/年の研究費などを調達できます。これはスタート段階での数字だと考 えています。詳細については、担当者にご連絡してください。

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「おつくる」の実績について

これまで、「おつくる」( Otsucle)では、7 つの CF にチャレンジして、総額約 1,000 万円の資金調達 に成功しています。予備的なプロジェクトを含めると、11 件の CF で約 2,100 万円 の資金調達に成功し ています。まだ、小 額ですが、CF により 資金調達が可能です。右図は、その一部を紹介しています。学生がソーラーカーのコンテストに出場するための資金集めにおいては、当の教員が予算を管理します。このプロジェクトにおいては、その後スポンサーが付いてくれるなど、新たな展開も生じています。CF の実際のサ イト:https://otsucle.jp/に是非アクセスしていただければと存じます。もし CF についてご興味がございましたら、下記にご連絡ください。 お問い合わせ:おつくるホームページ https://otsucle.jp/ から

または、佐野(E-mail: sano.masataka@tokushima-u.ac.jp)まで。

 

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一般社団法人 大学支援機構について (http://universityhub.or.jp)

一般社団法人大学支援機構は、大学がさらに発展するよう、多くの大学が個別に所有しているもの を共有化するために必要なプラットフォーム(アカデミックプラットフォーム)を設置するために設立しました。現在、国立大学法人は、運営費交付金の削減により、財政的に非常に厳しい状況になっています。このままでは、日本の教育基盤が失われ、科学技術の発展が阻害されてしまう可能性があり、実際、その傾向がすでに顕著になっています。そこで、各大学が孤立的に奮闘するのではなく、共有できるものは共有して、まさにsharing economy により、この危機を乗り越える必要があると感じています。大学の活動を支援するシステムとして、最初に「おつくる」を設置しました。これは、くらうど(crowd)から
の支援を受けるための、クラウドへ の支援をするためのプラットフォームで、クラウドファンディングとクラウドソーシングと大学支援 のためのネットショップにより構成されています。

共有していただけるシステムがございましたら、お知らせいただければ幸いです。 

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